温度校正装置は大別すると3種類に分類できます

国の標準器によって校正された計測器を使うべし

例えば多くの人々が集まる公共施設で使われる温度計は国の標準器によって校正された計測器を使わなければなりません。温度を校正する装置は大別すると三種類に分類できます。一つ目のタイプが接触式温度計用ラインナップと称されるものです。それにはいくつかの種類があります。例えば熱電対、抵抗体、サーミスタ、そして我々に一番身近なガラス式などがあります。二つ目のタイプとしては放射式ヒートセンサーラインナップがあります。そして三つ目のタイプとしては標準ヒートセンサーラインナップがあります。これらのすべてのタイプについて国家はその標準器を備えています。計測器の温度校正をする場合には、国家が保有する装置としての標準器と比較することで適正なキャリブレーションがなされます。なぜ国家が保有する装置としての標準器に遡ってキャリブレーションがなされなければならないのでしょうか。これはISO国際標準化機構の品質管理システムに従っているということなのです。

建設業大手もこぞってデミング賞にチャレンジしました

品質管理といえば思い出すのが地球の裏側のアメリカで開発されたトータルクオリティコントロールというTQC品質管理システムでした。半世紀前までは日本の大手企業はこぞってアメリカ発のトータルクオリティコントロール品質管理システムを導入していました。当時はどの大手企業も自分たちが先にデミング賞を受賞するのだという意気込みに燃えていました。実際に日本企業がデミング賞に輝いた例は少ないです。デミング賞に輝いたのはトヨタ自動車を中心とする大手企業などですが、数にして全部で十数社にすぎません。また当時は建設業の大手もこぞってデミング賞にチャレンジしましたが、受賞したのはわずか二社だけです。竹中工務店と前田建設工業が見事受賞したのです。その他の大手建設会社はことごとく敗れ去り、その夢は儚く消えたという次第です。アメリカのデミング賞受賞というのはこのように大変に受賞が難しい分野の賞ではありました。

日本も品質管理の世界標準に追いついたというわけです

さて本題のヒートキャリブレーションの問題ですが、日本でもISO国際標準化機構の品質管理システムに従うことが決定されました。日本の経済産業省を主軸としてまもなく法律が整備されました。それがあの有名な計量法です。経産省が最も力を入れたのはjcssキャリブレーションのシステムです。ありとあらゆる種類の計測器のキャリブレーションに対応するために、それらの基準となるような計測器をかき集めました。急遽多くの計測器が国の標準器として登録されました。これらの標準器の管理はとてもシビアです。なんと計測器の標準器自体についてのキャリブレーションまで事細かに決められているのです。それで何とか日本も品質管理の世界標準に追いついたというわけです。

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